あなたの親友が、単語を二つしか喋れない呪いにかかったとして
「ダイエット 挫折」
という単語しか喋らなかったとする。
目の前で頭を掻きむしり、絶望感に打ちひしがれている親友を見て
「よしわかった。今すぐ助けてやるから待っていてくれ」
といって、君は図書館にこもり、寝る間を惜しんで「ダイエット」の文献を読み漁り、「挫折」の心理に書かれた専門書を紐解きます。
そして街に出て、親友の他にも「ダイエット 挫折」で悩んでいる人を探して、話をききに行きます。
日が暮れるまで話を聞きまくってから、こんどは自分の部屋に篭り、今まで調べてきた情報をもとに、親友が何に悩んでいるのかを考えます。
「ダイエット 挫折」の単語しか話せない親友は、一体何に苦しんでいるのか
どうすればその苦しみから解き放ってあげられるのか
考えて考え抜きます。
そして、考え抜いた末の結論を、一つの文章としてまとめます。
苦しみにもがく彼にも読みやすいように、出来るだけ丁寧に書きます。
翌朝、それを彼に見せました。
彼はそれを手に取ると、貪るように読み出しました。
震える手を押さえながら、何度も何度も読みました。
そして、彼は君にたった一言だけ言葉を発しました。
「ありがとう」と。
「お前、呪いが解けたのか?」
君は問い掛けますが、彼はそれには応えません。
「そんな事はどうでもいい。
この文章を、俺と同じ悩みを抱えた人々に届けてくれ。」
そう言いました。
君は街の掲示板にその文章を貼ります。
翌朝、その掲示板の前に人だかりが。
泣き崩れる人。
大声で感謝の言葉を叫ぶ人。
何度も何度も肯く人。
君は驚き、彼らの話を聞きに行きます。
「ああ。お前さん、前に街のあちこちで「ダイエット 挫折」について聞き回ってた人か。
もしかしてこれ、あんたが書いたのか?」
君はそうです。と答えます。
「おお!それはちょうど良かった。
いや、この文章は素晴らしい!もっと君の文章を読んでみたくなったよ」
「そうだ。本書いてよ。絶対買うからさ」
君は周囲の期待に応えるべく、出版社に行き、掲示板に貼った文章を大幅に加筆修正した物を一つの本にしました。
そして、それを販売すると、あっと言う間に売り切れました。
それからも本は売れつづけ、ついには何十万部も増刷するほどの大盛況。
君は見事、億万長者となりました。
このストーリーは流石ですね。
状況が見えるようで、しかもシンプルですね。
早く、このような文章が書けるようなりたい!!